治療はどのくらいが調度良いのでしょうか。
「もっとやってあげたら、もっと良くなるんじゃないか」って思ってつい治療をやりすぎちゃう。今日はそんなお話です。
治療していてもちっとも良くならない人がいる。
どうしてだろうって悩みながら、自分の頭のなかにある少ない知識を総動員して必死に患者さんと格闘します。
患者さんも必死でしょうが、僕も必死です。
「何も変化がないまま帰したくない。」僕の思いは開業当初から変わりません。
僕の最初の失敗は、友達に頼まれてした顔面の痛みの治療でした。
鍼灸学校を出てまだ間もない頃だったと思います。
お礼に夕飯をご馳走するからと言われて、自信はなかったけれど自分も練習のつもりで行きました。
初日は慎重に刺したので、何の問題もなく、むしろすごく楽になったと喜ばれ、また是非やってほしいとせがまれました。
二回目、この間の鍼がすごく効いたからまた頼むと言われて気を良くして行った僕は、友人の顔の腫れが取れていることに自信を持ち、もっとちゃんと鍼をしてみようと思ったのです。
これがいけなかった。
最初のときは浅く刺していたところの奥に硬く触れるものがあったので、そこを目指して鍼をしたら、急に症状がぶり返してしまいました。
慌てて鍼を抜いたのですが、もう遅い。友達は気にするなと言ってくれましたが、僕の落ち込みはひどかった。その友達からも「また鍼をして」とは二度といわれませんでした。
鍼灸の学校を卒業するまでは、「こういうときはこういう治療をすると良い」と教わり、
修行中は院長先生の言われるままに動いて経験値を上げていきます。
そしていよいよ自分の患者さんを抱えるようになって、自分で考えて治療を組み立てるわけですが、ここではじめてとんでもないことに気がつきます。
「どのくらい治療したらいいのか判らない」のです。
教科書にもまったく書いてありません。
刺激が多いとドーゼオーバーといって返って良くないから気をつけましょうとは書いてありますが。
どのくらいが少なくて、ちょうど良くて、オーバーなのか、人にも違いがあるわけですから、まったくわからない。
いまなら、あのときの失敗の理由もわかります。友人の顔の痛みは三叉神経第2枝上顎神経炎でした。神経が炎症を起こしているところへは強い刺激を避け、皮膚に当てるくらいの鍼刺激をして患部の熱を取り、そして体力の回復を図る治療を進めていく。炎症を起こしやすい状態になっている体を元に戻してあげる。今の僕なら、そうします。
そういうわけで、僕の治療の出発は失敗からでした。今でもこの失敗は忘れられません。でも確実に僕を成長させてくれた失敗でした。
ちなみにこの友達とは、いまでも良い付き合いをしています。ご安心を。
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